女性化乳房には典型的な症状がいくつかあります。
今回はその症状についてお伝えします。
胸の膨らみ
全ての女性化乳房に認められるとも言える症状です。
女性化乳房のほとんどがホルモンバランスの乱れが原因ですので、年齢による発症時期の偏りがあります。
思春期
特に多いのが思春期にホルモンバランスの変化で認められる女性化乳房(乳腺の発達)が大人になっても残ってしまうケースです。
特に思春期前後に太り気味の場合、脂肪で女性ホルモンが多く作られてしまうため、乳腺が大きく発達し、そのまま残ってしまう傾向が強くなります。
※思春期女性化乳房に関してはこちらも参考にしてください⇒【思春期の乳腺肥大について】
更年期
更年期には男性ホルモンの減少、皮下脂肪の沈着、皮膚の弛緩など様々な原因が絡んで女性化乳房を発症する可能性が高くなります。
左右の違い
左右両方の胸が膨らむ場合が最も多いのですが、片側だけ膨らむことも珍しくありません。
また、膨らみの程度は乳腺の大きさによって様々です。
乳輪部分だけ膨らみを認める場合から、いわゆる女性の胸のように大きく発達する場合まであります。
参考までに、当院では直径6~8cm程度の乳腺の発達を両側に認めるケースが最も多いです。
男性の胸が膨らむ原因のほとんどが女性化乳房です。
そして女性化乳房になった原因も年齢変化によるホルモンバランスの変化か原因不明のことが大半を占めるのですが、稀に他の疾患が原因で女性化乳房を発症している場合がありますので、女性化乳房を専門に診療している医療機関でチェックすることが大切です。
※女性化乳房と病気に関してはこちらも参考にしてください⇒【女性化乳房と病気の関係】
しこり
女性化乳房のうち真性女性化乳房と言われる乳腺が発達するタイプの場合、膨らみの部分が硬くなります。
男性の胸は皮膚、皮下脂肪、筋肉からできています。
一方、真性女性化乳房の胸は皮膚、皮下脂肪、乳腺、筋肉からできています。
乳腺は皮下脂肪に包まれているのですが、皮下脂肪より乳腺は硬いのです。
ですから乳腺が発達するとしこりとして触れるようになります。
ただし、乳腺の発達を認めない偽性女性化乳房の場合はしこりを触れません。
※真性女性化乳房と偽性女性化乳房に関してはことらも参考にしてください⇒【真性女性化乳房について】 【偽性女性化乳房について】
痛み
痛みは女性化乳房でよく認められる症状です。
- 何もしていない状態でもチクチクする
- 手で押したりうつ伏せで圧迫されたりすると痛みが出る
- 走ったりジャンプしたりすると痛みがでる
痛みがあると悪い病気ではないかと心配される方もいらっしゃいますが、乳がんの場合は痛みを伴うことはあまりありません。
上記のような症状がある場合は女性化乳房の可能性が高いです。
※男性の乳がんなどに関してはこちらも参考にしてください⇒【男性の胸が膨らむ疾患と乳がんについて】
かゆみ、皮膚炎
女性化乳房の身体的症状は上記の「胸の膨らみ」「しこり」「痛み」が3大症状なのですが、稀に乳輪周囲のかゆみや赤くなる皮膚炎を伴うことがあります。
このような場合も女性化乳房手術で乳腺を除去することによって皮膚症状も改善します。
精神的ストレス
男性にとって女性のシンボルでもある胸の膨らみは非常に気になるものです。
身体的な症状のほか、精神的なストレスも女性化乳房で見逃してはならない症状です。
治療の動機が「夏にTシャツ一枚になれない」「プールに入れない」「修学旅行、社員旅行に行きたくない」など学校生活、社会生活に大きな支障があるケースも稀ではありません。
上記のように大きな支障があるケース以外でも、女性化乳房の治療を受けられた方のほとんどが治療によってストレスが無くなり、快適に生活できるようになったと感じています。
私は女性化乳房手術の本当の意義はここにあると考えています。
「胸の膨らみ」「痛み」「しこり」によって日々の生活が本当にストレスになります。
おおげさに聞こえるかも知れませんが、これらの症状が改善することによって、ストレスから解放されより良い人生を歩めるきっかけになるのです。