現在はレーザーや光による脱毛が主流となり、すっかり影が薄くなってしまった感のあるニードル脱毛(針脱毛、電気脱毛とも呼ばれています)ですが、まだまだその存在意義は十分あります。
今回はニードル脱毛についてその詳細をお伝えします。
目次
ニードル脱毛とは
ニードル脱毛とは写真のような針を毛穴に挿入し、一瞬電気を流します(0.25~0.5秒)。
電気を流すことによって生じた針先の熱で毛根の細胞にダメージを与え、永久的に毛を生えてこなくする(=永久脱毛する)治療です。
その歴史は古く、アメリカの眼科医チャールズ・ミッチェル(Charles Michel)が1875年に逆さまつ毛の治療法として発表したのが最初です。
非常に歴史も長く、効果と安全性も実証されていますので、アメリカのFDA※では永久脱毛=ニードル脱毛、永久減毛=レーザー脱毛と分類されています。
※FDA:Food and Drug Administrationの略。医療分野に関しては日本の厚生労働省と似た役割を担う。
メリット
ニードル脱毛だからできることがあります。
レーザーや光ではできない脱毛部位や毛、合併症の救済目的の脱毛などについて説明します。
レーザーでも効果が無かった毛も脱毛できる
適切なレーザーの種類、設定で行えば通常の体毛は脱毛できます。
しかし、稀にどうしてもレーザーで脱毛効果がほとんど得られないケースや、部分的に脱毛できないケースがあります。
当院でもレーザーでほとんど効果が得られなかったので、ニードル脱毛へ変更したところ、十分な脱毛効果を得られたというケースが過去にありました。
また、レーザーや光の合併症、「硬毛化」や「アレルギー」を起こしたケースでもニードル脱毛なら対応可能です。
レーザーや光で脱毛できなかったとしても、あきらめる必要はありません。
毛、肌の色を問わない
脱毛に使用するレーザーは黒など濃い色に吸収されることによって脱毛効果を発揮します。
従って、レーザーで脱毛する場合、「毛の色」と「肌の色」は非常に重要です。
毛の色が黒い場合は問題ないのですが、色が薄い場合は抜けづらく、白髪は全く抜けません。
しかし、ニードル脱毛は毛の色は問いませんので、色が薄い毛や白髪でも脱毛することができます。
また、肌の色も同様に日焼けなどで肌の色が濃いとレーザーが肌に吸収され、合併症の原因となってしまします。
もちろんレーザーの波長を適切に選択することである程度は色黒の肌でも対応できるのですが、限界はあります。
そのような場合でもニードル脱毛であれば皮膚の色調に関係なく脱毛可能です。
眉毛などレーザーで脱毛できない部位も可能
レーザーではある程度密集した毛を一本一本抜くことはできません。
レーザーは機種によって様々ですが、ある一定の面積へ均一に照射されます。
従って、眉毛のように形を繊細に整えたい場合にはレーザーでの脱毛は不向きです。
ニードルで一本一本丁寧に抜いていき、形を整える方が美しく仕上がります。
デメリット
ニードル脱毛のデメリットのデメリットを理解することで、ニードル脱毛の本当の価値が見えてきます。
ここではニードル脱毛のデメリット(欠点)について解説します。
時間と費用がかかる
ニードル脱毛は1本1本脱毛しますので、レーザー脱毛や光脱毛などに比べて時間と費用(技術料)がかかってしまいます。
全ての体毛をニードルで脱毛しようとすると膨大な時間と費用がかかることにはなるのですが、広範囲の脱毛はレーザーなどで極力本数を減らし、レーザーでは抜けない毛に対してニードルで脱毛する方法が最も効率よく脱毛できます。
施術を行っているところが少ない
ニードル脱毛は細い毛穴に針先を挿入するという繊細な技術が必要です。
しかもニードル脱毛は毛穴に針先を挿入するだけでは上手く脱毛されません。
針先が毛根に到達した状態で電気を流すことで初めて毛根の細胞にダメージを与えることができます。
針先が毛穴の入口を通過しても、毛根からそれてしまっていると脱毛効果が無いばかりか痛みも強くなってしまいます。
このようにニードル脱毛の技術は非常に繊細ですので、施術者を育成するには時間と努力が必要です。
レーザーや光脱毛の方がニーズも多く、施術者の育成も簡単なことから、ほとんどの施設がレーザーもしくは光脱毛のみで脱毛を行っているのが現状です。
実際にはニードル脱毛も行わなければ完璧な脱毛を提供できないのですが、必ずしも完璧な脱毛が施設の経営メリットにつながるわけではないので、導入する施設が少ないのが現状です。
痛み
この記事を書いている私自身、レーザー、光、ニードルの全ての脱毛を何度も受けています。
やはりニードル脱毛の方が痛みを伴います。
正確にはレーザー、光の方が痛みを伴う部分が少ないという表現になるでしょう。
レーザーや光でも痛いところは痛いです。
ニードル脱毛で痛みが強い部分(脇など)は医療機関であれば局所麻酔を使用できますので、痛みに関しては麻酔の併用が可能である施設を選択することが特に大切です。(エステサロンでは麻酔ができません)
治療の流れ
① 脱毛部位の毛を伸ばす
通常の体毛は施術の1~2週間前から、髭は3~4日前から処理をせず、伸ばしてください。
ニードル脱毛はピンセットで毛をつかみますので、数ミリ毛を伸ばす必要があります。
② 施術
ベッドに寝ていただき、施術開始です。
ニードル(針)と言っても皮膚に針を刺すわけではありません。「毛穴にそっと挿入する」が正しい表現です。
ニードルを毛穴に挿入し、電気を0.25~0.5秒間流します。その際、チクッとした感じがします。
この作業を一本一本の毛に対して繰り返していきます。
痛みが強くない部分はよく冷却しながら行いますが、痛みが強い部分(脇など)は局所麻酔を併用します。
③ 施術直後
毛穴がポツポツと赤い状態になっています。
この赤みは数日から1週間ほどで消えます。
ニードル脱毛は施術の際に毛を抜きますので、直後から脱毛された状態になります。
④ 次回施術
毛が生えそろったら次回の脱毛を行います。(約2か月後)
脱毛部位による違いや個人差はありますが、脱毛が全く初めての部位でも6回前後でほぼ永久脱毛された状態になります。
まとめ
施術できる施設も少なく、費用も高く痛みもあり、敬遠されがちなニードル脱毛ですが、白髪や眉毛、硬毛化した毛、脱毛後アレルギーを起こすケースなどレーザーや光では対応できない毛に対する選択肢として欠かすことのできない脱毛法です。
レーザー、光、ニードルの各脱毛法を上手く組み合わせることで理想の肌を目指しましょう。