男性の胸が膨らむ疾患と乳がんについて

「男なのに胸が膨らんできた!」
何か悪い病気ではないだろうかと心配になる方も多くいらっしゃいます。

ここでは男性の胸が膨らむ原因、疾患について解説します。

 

男性の胸が膨らむ疾患一覧

下の表をご覧ください。

原因 頻度
真性女性化乳房 63~93%
偽性女性化乳房 5.4%
乳がん 1.4~2.9%
脂肪腫 0.9~2.9%
粉瘤 1.4~2.0%
乳腺炎 0.8~1.1%

 

男性の胸が膨らむ原因のほとんどは女性化乳房です。

ちなみに女性化乳房は乳腺の発達による「真性女性化乳房(しんせいじょせいかにゅうぼう)」と乳腺の発達はなく、皮下脂肪のみによる「偽性女性化乳房(ぎせいじょせいかにゅうぼう)」があります。

統計の数値を見てお分かりの通り、女性化乳房のほとんどが「真性女性化乳房」です。

 

 

男性の乳がんについて

乳がんは女性の疾患というイメージがありますが、男性も乳がんの可能性はあります。
男性の胸のふくらみ・しこりの原因の1.4~2.9%を占めています。

症状

通常片方の胸に腫瘤を触れます。

自覚症状で女性化乳房と最も大きな違いは、ほとんどの場合痛みがないという点です。
(女性化乳房は何かしらの痛みを伴うことがよくあります)

また、しこりは乳頭の中心からずれる傾向があることも特徴です。

その他、乳頭からの血性浸出液、腋窩リンパ節腫脹などの症状も認められることがあります。

乳がんに注意すべき人

・年齢
男性乳がんは若年者にはほとんど認められず、50歳以降に多く、平均発症年齢は60~70歳です。

・家族歴
乳がんにかかったことがある血縁者の存在はリスク要因になります。

 

乳がんを過度に心配する必要はありませんが、男性でも乳がんの可能性があるということを頭の片隅に置いとくことが大切です。

もし上記の症状があてはまり、乳がん疑った場合は乳腺外科を受診してください。

 

その他の疾患について

脂肪腫

脂肪腫は皮膚の下(稀に筋肉の中など)にみられる、脂肪でできた良性腫瘍です。

≪症状≫

皮膚表面になだらかなドーム状の膨らみとして見えることが多いです。
触ってみると、やや柔らかい塊を触れます。

大きさは数センチ以内のものがほとんどですが、10cm以上になることもあります。

≪治療≫

脂肪腫のほとんどが局所麻酔の日帰り手術で摘出可能です。

大きいものは全身麻酔が必要になる場合があります。

粉瘤

粉瘤は皮膚の直下にみられる良性腫瘍です。

≪症状≫

皮膚表面に半球状の膨らみと中心に黒い点を伴うことが多いです。
触ってみると、やや硬い塊を触れます。

大きさは数センチ以内のものがほとんどです。

≪治療≫

局所麻酔の日帰り手術で摘出します。

乳腺炎

≪症状≫

急な乳房の膨らみ、痛み、熱感、硬いしこりを認めます。

≪治療≫

抗生物質の投与を行います。

 

まとめ

男性の胸の膨らみの原因のほとんどが女性化乳房によるものです。

しかし、まれですが男性の乳癌も存在しますので、50代以降で片方の胸に痛みを伴わないしこりを見つけた場合は注意が必要です。

乳癌以外の原因は基本的に良性のものです。