筋トレで女性化乳房が悪化!~その原因について~

筋トレで大胸筋が発達すればするほど逆に胸の膨らみやしこりがかえって気になるようになった経験はありませんか?

あまり知られていないのですが、女性化乳房は筋トレで治らないばかりか、かえって目立つようになることもあります。

今回はその原因と治療経過について解説します。

 

筋トレで女性化乳房が治らない原因

せっかく日々の努力で作り上げた体が乳輪周囲の膨らみのためにもう一つ理想に近づけないことがあります。
そして膨らみを手で良く触ってみると何かしこりのようになっている・・・

その症状は女性化乳房による可能性が極めて高いと言えます。
(女性化乳房とは男性の乳腺が発達してしまった状態のことです。)

では、なぜ筋トレで女性化乳房が治らないばかりか、かえって目立つようになるのでしょう。

大胸筋の発達と乳腺の存在

大胸筋が発達していない時は多少乳腺があっても、その存在はあまり目立たないことが多いです。
しかし、トレーニングによって大胸筋が発達するにしたがって乳腺が表面にどんどん押し上げられてきますので、少しの乳腺の存在でも膨らみが目立つようになってきてしまいます。

皮下脂肪の減少

痩せることが目的で腕立て伏せやベンチプレスなど胸周りの筋トレとカロリーコントロールを継続した場合も同様です。

確かに胸の皮下脂肪は減ります。
しかし、乳腺は皮下脂肪と違い減ることはありません。

すると今まで皮下脂肪に隠れていた乳腺が次第に存在感を増してきてしまいます。

雪に埋もれていた岩が雪が溶けるにしたがって、その存在が明らかになってくるようなイメージです。

特に本格的なトレーニングを積んでいるアスリート、ボディービルダーは大胸筋の発達と皮下脂肪の減少という上記2つの要素が同時に、しかも顕著に加わりますので、わずかに乳腺が存在するだけでも目立ってしまうことになります。

 

正しい対処法

上記の症状があてあはまり、あなたが女性化乳房ではないかと感じた場合はまず形成外科、乳腺外科を受診してください。

触診だけでも診断がつくことがありますが、超音波検査など画像検査まで行えばほぼ間違いなく診断がつきます。
同時に血液検査でホルモン以上の有無などをチェックする場合もあります。

ホルモンの異常などが認められない場合、女性化乳房自体は特に体に悪影響をおよぼすことはありません。
悪性腫瘍など悪いものを疑うようでなければそのまま経過をみても大丈夫です。

一方、膨らみやしこりを無くしたい場合は、手術で乳腺を切除します。

傷跡に関しては、どうしても個人差がありますが、多くのケースがあまり目立たないといって良いくらいの傷跡には落ち着いてきます。

 

代表事例

女性化乳房 術前 写真上はわずかな膨らみのように見えますが、前かがみのポージングの際に乳輪周囲の膨らみが目立ってしまうとのことで当院を受診されました。
(特に右側)

診察してみると、皮下脂肪は非常に薄いのですが乳腺組織の存在を認めました。
ボディービルダーに見られる典型的な女性化乳房の状態です。

 

治療は局所女性化乳房 術後麻酔下に乳腺切除術を行いました。
(女性化乳房手術は全身麻酔で行うことが多いのですが、今回のケースのように皮下脂肪が少なく、乳腺も小さい場合は局所麻酔で行います)

 

術後は「胸の膨らみはもう気にならない」とのことでした。

 

まとめ

乳腺が存在する女性化乳房は筋トレで改善しない、もしくは胸の膨らみがかえって強調されることがあります。

女性化乳房の診断は形成外科、乳腺外科で触診、超音波検査などで診断がつきます。

乳腺が認められた場合は手術で乳腺を除去することで症状が改善します。