レーザー・光脱毛のやけど【症状・原因・対策について】

現在、永久的な脱毛として確立されている方法(もしくは永久的と考えられている)はニードル脱毛、レーザー脱毛、光脱毛です。

使われる機器の違いはあるのですが、熱で毛根の細胞に永久的なダメージを与えて毛が生えてこなくするという脱毛の原理は全ての脱毛法に共通しています。

熱で細胞にダメージを与えるということは簡単に言うとやけどを意図的に起こしているのです。

やけどを起こしているのですが、その範囲は毛根に限局することができれば合併症であるやけどにはならないのですが、少しやけどの範囲が広くなると合併症であるやけどになってしまします。

参考までにやけどの発生率は、当院のレーザー脱毛では軽度のものも含めて0.3%の確率でした。

今回は「レーザー・光脱毛のやけどに関する情報」をお伝えします。

 

脱毛に伴うやけどの症状

まずはやけどの症状を知ることが大切です。

脱毛部位の変色

脱毛のやけどで最も多いタイプです。

施術を受けた翌日から数日の間に皮膚に褐色の変色(薄いかさぶた)が生じます。
レーザーや光脱毛器の発射口の形(丸もしくは四角)になることが多く、人工的な形なのですぐに分かります。

やけどの一例

やけどの一例

一見すると非常に衝撃的ですが、このタイプのやけどのほとんどは適切な処置と時間をかければほぼきれいに治ります。

水膨れ

施術を受けた当日から翌日の間に水膨れができます。

通常は多くても数個以内のことがほとんどです。

※脱毛部位全体に赤みと水膨れ、それから痒みも伴う場合はアレルギー症状の可能性が高いです。

水膨れになるやけどは痕に残る可能性が高いですので、適切なケアを行うことが大切です。

 

やけどになってしまったら

脱毛は熱を使用しますので、やけどのリスクが全く無くなることはありません。
やけどになってしまった場合の対処法についてお伝えします。

よく冷やす

やけどを起こした時はまず冷やすことでできるだけ熱のダメージを周囲に広げないようにします。

冷やす処置は早ければ早いほど良いので、これは施術者がやけどの可能性を疑ったらすぐに取るべき行動です。

軟膏処置

水膨れなど皮膚症状が現れた場合、ステイロイドや抗生剤含有軟膏でやけどの部位を保護します。

特に水膨れは破らないように丁寧に扱ってください。

水膨れが破れてしまった場合も軟膏処置でやけどの部位を乾かさないようにして治した方が痕に残りにくくなります。

内服薬の使用

これはやけどを治すためではないのですが、やけどによって生じる色素沈着(やけどの部分が茶色くなる)の予防と改善を目的としてビタミンCやトラネキサム酸を内服します。

ビタミンCとトラネキサム酸は色素沈着の主要成分・メラニンの合成を抑制しますので、色素沈着の予防と改善を早めることが期待できます。

イオン導入

先に述べましたように、ビタミンCはメラニンの合成を抑制しますので、これを皮膚へ直接届けることも有効です。

ただし、ビタミンCをただ皮膚に塗っただけでは、皮膚に浸透しません。

そこで、皮膚に浸透しづらい物質も、イオン化することにより皮膚に浸透するという性質を用いてビタミンCをイオン化して効果的に皮膚へ補給する治療です。

 

やけどの原因

やけどは通常起こらないものですが、いくつかの条件が重なった時に起こりやすくなります。

肌が茶色い

脱毛に使用するレーザーや光は毛に含まれているメラニンをターゲットにしています。

しかし、日焼けした肌、色素沈着した肌も多くのメラニンを含んでいますので、そこへレーザーなどを照射すると毛だけでなく肌にも多くのエネルギーが吸収され、やけどを起こしやすくなります。

濃い髭

毛の密度が濃いと毛根で発生した熱がこもってしまい、やけどの原因となります。
特に髭は体毛の中でも最も密度がある毛ですので、熱がこもり、やけどを起こすリスクがあります。

密度が濃く、やけどのリスクが高いと考えられるときはよく氷で冷やしながら脱毛したり、少し間引くようにレーザーを照射したりすることでやけどを起こさないように工夫します。

不適切な脱毛機

脱毛機によってそれぞれ特性があります。
大きく分けると

  • 光(フラッシュ)
  • アレキサンドライトレーザー
  • ダイオードレーザー
  • ヤグレーザー

の4種類です。

光(フラッシュ)

エステでよく使用されています。軟毛には効果があり、女性の体毛であれば脱毛できます。

しかし、VIOや男性の体毛、髭はほとんど効果がないと言ってよいくらいです。

アレキサンドライトレーザー

軟毛~中程度の硬毛まで脱毛できます。

しかし、VIOや髭の脱毛はもう一つです。

また、メラニンに対してよく反応しますので、肌の色が茶色いとやけどのリスクが高くなります。

ダイオードレーザー

軟毛~硬毛まで脱毛できます。

ある程度の茶色い肌までは対応できます。

ただし、ジェルを塗ってレーザーのヘッドを肌に接触させながら照射しますので、VIOなどデリケートゾーンは衛生面などの点からやや微妙かもしれません。

ヤグレーザー

髭やVIOなどの硬毛の脱毛に向いています。

非常に日焼けした肌でもまず問題なく脱毛できます。

ただし、4種類の脱毛機の中で最も深くまでエネルギーが届きますので、痛みが強いです。

このように脱毛機によってそれぞれ特徴があり、全てオールラウンドに対応できる脱毛機は現在のところありません。

従って、肌の色、毛の質、脱毛部位などによって脱毛機を使い分ける必要があります。

これを無理して1種類の脱毛機で全ての肌、毛に対応しようとすると結果がでないばかりでなく、やけどなどの合併症が増える原因となります

 

やけどを避けるために

やけどを避けるためのいくつかのポイントを紹介します。

日焼けに気を付ける

やけどの原因のところでお伝えしましたように、脱毛のレーザー、光はメラニンをターゲットとしています。

日焼けで肌の色が茶色くなると、毛だけではなく肌にも反応し始めますので、やけどのリスクが高くなります。

もちろん脱毛機の設定や機種を適切に選択すれば脱毛は可能なのですが、肌の色は白い方が脱毛の痛みも少ないという点から見ても、日焼けで肌を茶色くするのは避けた方が良いでしょう。

脱毛方法(脱毛機)を適切に選択

脱毛方法・脱毛機によって得意な肌質・毛質があります。

安全で効果的な脱毛のためには、数種類の脱毛方法・脱毛機から選択しながら行うことが不可欠です。

色白の肌に向いているレーザーで色黒の肌の脱毛をすれば当然リスクが高くなります。

硬毛化してしまった場合は脱毛機や脱毛方法を変更すべきところを、エネルギーを強くすれば抜けると考えてやみくもに強くレーザーや光を照射すればやけどのリスクばかりが高くなります。

※硬毛化についてはこちらも参考にしてください→脱毛しているのに毛が濃くなる【硬毛化について】

繰り返しになりますが、全ての肌質・毛質にベストな結果を出せるオールラウンドな脱毛方法・脱毛機はまだありません。

脱毛施設を選ぶ場合には複数の脱毛機があることと、光もしくはレーザーの他にニードル脱毛も対応できる施設だとより安心です

経験

レーザーや光脱毛は比較的術者による結果の違いが出にくい脱毛方法だと言えるのですが、初心者とベテランで差が全く無いと言うのには無理があります。

経験に関してはなかなか情報が無いので難しいと思いますが、スタッフが頻繁に入れ替わる場合は施設全体の経験値の底上げが難しいと考えることができます。

 

まとめ

脱毛の合併症を避けるには、上記のようにいくつかの押さえるべき点があります。

しかし、最も大切なことは施術者がやけどのリスクを常に頭に置き、細心の注意を毎回払うことと、万が一やけどを疑った場合は早急に対処することです

ただし、やけどをほとんど見たことがない施術者がやけどの症状を早期に疑うことは無理があるというものです。

この点に関しては、日ごろからやけどの診察をしており、レーザー治療に長年携わっている形成外科医、皮膚科医は症状の判別と対処法を熟知しています。

万が一の時の安心と安全を考えると形成外科医、皮膚科医が在籍する施設での医療脱毛を選択すべきだと考えます。