診療日記14 手術に関するQ&A①

こんにちは。

今回は、手術(形成外科手術)に関して、時々いただく質問から3つピックアップしてお伝えします。

夏に手術すると傷が膿みやすいですか?

夏(汗をかきやすい季節)は傷が膿みやすいと聞いたことはありませんか?

しかし、夏だから特に傷が膿みやすい(化膿しやすい)ということはありません。

手術の傷が化膿する原因の一つは、手術中に傷の中に入ってしまう菌が傷の中で徐々に繁殖してしまうことです。

どれだけ清潔な環境で手術を行っても、残念ながら多少は菌が傷の中に入ってしまいます。

しかし、通常は体の防衛機構が働いて混入した菌を排除しますので、少々のことでは化膿しません。

したがって、夏だから(汗をかくから)といって感染が増えるというわけではありません。

実際、当院でも季節に関係なく、ほぼ毎日手術を行っていますが、夏に傷が化膿しやすいということはありません。(そもそも化膿することはほとんどありませんが。)

手術後の感染が増えるリスクとして、
・ 糖尿病
・ 喫煙
・ もともと手術部位が汚染(感染)している
・ 疾患等により免疫機能が低下している
などがあります。

あえて夏ならではのトラブルをあげるならば、術後に貼るテープが汗ではがれやすかったり、かぶれたりすることが冬場より幾分多いことでしょうか。

 

溶ける糸で縫ってもらえますか?

自然に溶ける糸で縫えば抜糸も必要ありませんし、そんなハイテク素材で縫えば傷がきれいに治りそうな感じがしますね。

ところが溶ける糸で縫えば抜糸がほぼ必要なくなるのですが、傷がよりきれいに治るということにはなりません。

それどころか抜糸が必要な糸より縫い痕が残りやすいのです。

なぜ痕が残りやすいのか? それは糸が溶けるということは糸の周りで炎症反応が起きているからです。

糸の周りで炎症反応が起きるということは、皮膚に余分なダメージを与えていることになります。

その結果、縫い痕が残りやすくなるのです。

抜糸が必要な糸は糸の周りでの炎症があまり起きませんので皮膚へのダメージは少ないです。

一方、溶ける糸で縫っても問題にならない部分(縫い痕が残りにくい部分)もあります。
それは粘膜(口の中、結膜など)です。

 

術後お酒はいつから飲めますか?

お酒が好きな方にとっては非常に大きな問題ですね。

まず、術後お酒を控える必要があるのは
・ 飲酒で術後出血が増える
・ 飲酒で痛みが強くなる場合がある
が主な理由です。

飲酒で一時的に血の巡りがよくなったり血圧が上がったりしますので、術後出血が増えやすくなります。

また、痛みに関しても「我慢する!」という問題ではなく、「痛い→血圧が上がる→術後出血する」という結果にもなり得ますので、お酒の制限期間はしっかり守りましょう。

手術内容、患者さんの状態、主治医の考えによりお酒の制限期間はケースバイケースになるのですが、当院の場合は数日~1週間程度が一般的な禁酒期間です。