胸オペの麻酔について
当院では、全てのケースを日帰り全身麻酔で行っています。
全身麻酔のメリット
- 完全に眠ることができる
- 手術中に痛みを感じることが無い
デメリット
- 術後に吐き気やのどの痛みが出ることがある
- 全身麻酔に対応できる設備が必要になる
全身麻酔は危険?
全身麻酔はその特性上、専用の麻酔器をはじめ、多くの機器、薬品をあらゆる状況に備えて準備する必要があります。
万全の準備をしているからこそ安全性が高まるとも言えます。
全身麻酔=危険というイメージを持っているかたもいらっしゃるかもしれませんが、全身麻酔による心停止の確率は0.000041%、局所麻酔の場合は0.00006%であり、全身麻酔が必ずしも危険というわけではありません。
時々「麻酔から覚めなくなることはありますか?」と質問を頂くことがあるのですが、麻酔から覚めないことはありません。
安全な日帰り全身麻酔のための工夫
医学の進歩により全身麻酔自体の安全性が高くなりましたが、安全な日帰り全身麻酔のために様々な工夫をしています。
回復が速い麻酔薬の使用
麻酔薬の進歩により、現在は麻酔の影響がすぐに切れる麻酔薬が使用できるようになりました。
術後2~3時間で歩いて退院できます。
ラリンゲルマスクの使用
一昔前までは、全身麻酔のためには筋弛緩薬という呼吸を停止させる薬を使用し、口から気管までチューブを入れ、人工呼吸器を使用する必要がありました。
しかし、現在では気管まで入れるチューブの代わりにラリンゲルマスクという喉の奥に入れるマスクを使用する麻酔法が確立されました。
これにより筋弛緩薬を使用する必要がなくなり、麻酔中も患者さん自身が呼吸をしていますので人工呼吸器を使用する必要がありません。
筋弛緩薬を使用していませんので、術後に呼吸が止まってしまうというトラブルの心配も無くなりましたので、日帰り全身麻酔の安全性が更に高まります。
徹底した術中モニタリング
呼吸で吐き出される二酸化炭素をモニタリングしておけば呼吸の有無はおろか、呼吸数、呼吸の深さなどをリアルタイムで確認できます。
十数秒以上呼吸が停止すればすぐにアラームが鳴りますので、トラブルを早期に発見できます。
その他心電図、血圧、酸素濃度なども随時モニタリングすることで、あらゆるトラブルを未然に防ぎます。