胸オペのリスクと合併症

極力ゼロにしたいのですが、どうしても手術にはリスクが伴います。

今回は乳房切除(FTM胸オペ)特有のリスク・合併症に関してみていきます。

 

血腫(けっしゅ)

再出血によって乳腺除去部分に血液がたまることです。

血腫は感染やしこりの原因になりますし、非常に大きな血腫は皮膚を圧迫して皮膚の血流が悪くなりますので、乳輪乳頭壊死など大きなトラブルにつながります。

症状

通常は片方の胸のみが膨らみます。

軽度の場合は少し水が貯まっている位の膨らみなのですが、大きい血腫になると胸が水風船のように膨らみ、強い痛みを伴います。

治療

軽度のものは自然吸収を待つか、血腫が溶けてきたころ(術後7~10日頃)に注射器で吸引します。

大きな血腫は早急に処置をしないとトラブルになりますので、止血・血腫除去の緊急処置が必要になります。

予防

まず術後12時間は不必要に出歩いたりしないで安静にすることが大切です。

また、高血圧がある方は高血圧の治療を行って血圧が安定してから手術を受けた方がより安全です。

過去に血が止まりにくかった経験がある方や、血が止まりにくくなる薬を飲んでいる方は診察時に必ず申告してください。

 

乳輪乳頭壊死

手術翌日頃から乳輪乳頭が次第に黒くなってきます。

リスク

①手術方法による違い

乳輪半周を切開する乳腺摘出術では、まず起こりません。

乳輪乳頭の移動を伴う手術方法や、乳輪周囲を360度グルっと切開する術式では起こる可能性があります。

②喫煙

タバコは皮膚の血の巡りを悪くし、壊死が高くなります。

特に乳輪乳頭壊死の可能性がある手術法を受ける場合は禁煙を徹底してください。

 

皮膚のたるみ

症状

乳腺摘出後に胸の皮膚のだぶつきが残ることです。

乳腺が無くなることで皮膚も縮んでくるのですが、それでも追い付かない場合に起こります。

リスク

①乳房が大きい

乳房が大きいとそれを包む皮膚面積も大きくなりますので、乳腺摘出後に皮膚が余りやすくなります。

②年齢

術後にどれだけ皮膚が縮むかは年齢による違いも大きいです。

当然年齢が若い方が皮膚の弾力性がありますので、術後の皮膚の収縮も期待できます。

一方、年齢が高くなるとどうしても皮膚の収縮が悪くなりますので、術後に皮膚が余りやすくなってきます。

同じような体型、乳腺の大きさの方でも30代以降の方と20歳前後の方とではどうしても仕上がりに差が出てしまいます。

③ナベシャツの使用

乳房を切除するまでは圧迫下着(ナベシャツ)を使用して日常生活を送っている方は多いのですが、実は手術という観点からはあまり良くないのです。

なぜなら乳房を下側に引き延ばすようにしてナベシャツで圧迫すると次第に皮膚が伸びてきてしまいます。

また、ナベシャツの使用歴が長いほど皮膚が伸ばされてくる傾向にあります。

たるみが残ったら

乳輪周囲もしくは胸の下側で余った皮膚を切除する方法が一般的です。

しかし、胸オペから約1年間は皮膚が収縮する期間です。
まだ術後1年経っていない場合はもう少し待ちましょう。

仮に1年後にたるみが残っていたとしても、少しでもたるみが少ない方が修正手術の傷跡が小さくて済みます。

 

傷跡

乳輪半周切開の傷跡は基本的にはあまり目立ちません。

ただし、傷跡周囲の乳輪の色が白く色が抜けることがあり、その場合はやや目立つ場合があります。
(白くなった場合でも手術の傷跡としては目立ちにくい方だと思います。)

余剰皮膚を切除した傷跡はいわゆる「皮膚を切って縫った」傷です。
この傷跡はどうしても個人差が出ます。

非常に薄くて細く、目立ちにくい傷跡になる場合から、やや盛り上がった目立ちやすい傷跡になる場合まで幅が出てしまいます。

基本は極力無駄な皮膚切除は避けることが大切だと考えています。

 

胸の皮膚感覚異常

術後胸の感覚が鈍くなったり違和感が生じたりします。
この症状は大なり小なりほとんどの方が術後経験しています。

胸の皮膚感覚は術後1年位かけてゆっくりと回復してきます。

1年経ってもやや鈍い感じが残る場合もあるのですが、生活に特に支障は無い範囲です。

 

左右差

人間の体は必ず右と左では違いがあります。

乳腺の大きさ、皮膚の余り具合、乳輪の大きさ、骨格など・・・

そういった元々の条件による若干の左右差は自然な範囲と言えるでしょう。

また、今までは乳腺に隠されて本来の胸の形が見えてなかった場合も、手術によって今までは気づかなかった本来の胸の形、(肋骨がやや出ている、少し胸が凹んでいるなど)が現れてくることがあります。

 

まとめ

手術のリスク・合併症は残念ながらゼロにすることは中々難しいです。

大切なことは避けられるリスクは極力避け、合併症が生じたときはまだ芽が出てきて間もないころに速やかに刈り取っていくことが大切です。

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実際にどのような感じになるのか想像することは難しいと思います。当院で施術した様々なケースについて解説していますので、参考にしてください。